2016年11月10日 更新

「管理職は割に合わない」、女性の労働観が二極化 女性管理職登用に立ちはだかる高い壁とは?

安倍政権は女性活躍を旗印に「女性管理職の登用」を企業に働きかけている。男女雇用機会均等法の施行後、男女平等は社会的には進んでいるはずなのに、日本企業の女性管理職比率(2011年現在)は部長4.5%、課長5.5%に留まっている。この記事では、なぜ女性管理職の登用が進まないのか考察する。

画像素材 - PIXTA(ピクスタ)

長時間労働を前提とした人事制度

長時間労働の是正が議論されているが、すぐには変わらないだろう。企業で昇進するには、男女問わず社内における出世競争を勝ち抜かなければならない。

そのためには、猛烈に働く必要がある。30代の男性のなかには100時間超の残業を厭わない従業員もおり、彼らと伍して出世競争を勝ち抜くには、それ以上に残業することもときとして必要だ。

そうなると、結婚や育児を諦めることにもなろう。育休や産休が整っている企業が昨今増えてきてはいるが、休むことで出世が遅れることを懸念する女性も多い。

労働時間を問わず、成果を出した従業員を評価する企業は増えてきているものの、大企業を中心にいまだ労働時間の長さに価値を置いているケースも多い。

このような企業では「仕事」もしくは「家庭」の二択となる。「仕事」を選ばなかった女性は、必然的に管理職候補から外れてしまい、出世の道は閉ざされる。そして、最悪の場合は、離職に追い込まれるケースもある。

女性の低い出世意欲

内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書 平成24年版」によると、女性は男性と比較して「仕事より家庭生活を優先する」と回答した人が多くなっている。

さらに、一部からは「女性の出世意欲は低い」という声も聞かれる。管理職に女性を登用したくとも、それを望む女性がそもそも少ないという話だ。

確かに筆者の知人の女性銀行員も「出世したくない」と話をしていた。彼女によれば、その銀行では、女性支店長の数に数値目標を設定、「女性だから」という理由だけで管理職へ登用しようとする動きが出ているという。現状、その銀行の管理職の大半は男性であり、孤立するのは目に見えているとも話していた。

実力があって、正規の手続きを経て登用されるなら問題は何ら発生しないはずだ。「女性だから」という理由で登用するのは本人にとって失礼であるだけでなく、公平性の観点から見てもおかしな話であろう。

採用時点でのふるい分け

企業のなかには、「総合職」と「一般職」で採用を行うケースもある。最近でこそ、「一般職」を望む男性が増えてきているが、「一般職」はこれまで女性がメインであった。「一般職」は特定の業務を担う従業員で、多くの企業では管理職候補と位置付けられていない。

一方、「総合職」は全国転勤なども厭わず働く管理職候補。「総合職」における女性の人数が少ない現状、女性登用が進むはずもない。

また、たとえ「総合職」で入社したとしても、管理職となるためには、会社の命令に従いさまざまな経験をする必要がある。

筆者の知る企業では、管理職となる条件を「全国転勤経験者」としていた。男性の場合、単身赴任者は珍しくない。しかし、女性はどうだろうか。喜んで単身赴任している人はあまり多くないように感じる。管理職登用条件が現状、男性にとって有利になっているようには見える。

女性の労働観が二極化している

近年、「管理職を目指してバリバリ働く女性」と「仕事はそこそこで十分。早く家庭に入りたい女性」に二分化されているように感じるのは筆者だけだろうか。

しかも、後者の女性が増えているようにも思える。一般的に高学歴だと言われている女性にもそんな傾向が見て取れる。

彼女たちなりの目線で日本企業を分析した結果、彼女たちは「管理職になるのは割り合わない」「管理職は大変だ」「管理職はワークライフバランスが優れていない」などと考えているのかもしれない。

それでも女性の活躍は喫緊の課題

労働力人口が減少するなか、政府は高齢者だけでなく女性の活躍を強力に推進している。

現代は変化が早い。将来が予測できない状況では、男性だけの硬直的な組織よりも女性がいる柔軟性の高い組織のほうが環境適用力は上であろう。

政府は、女性の活躍の舞台を設けるために、2020年度を目途に大企業の女性管理職比率を30%にまで引き上げたい方針。もちろん、国家公務員を中心にこの動きは広まってくるだろう。

とはいえ、現在のところ、数字が先行し掛け声だけに終始している感はある。実効性をどのように確保していくのか具体策が待たれる。

「ポジティブ・アクション」など女性の活躍を後押しする政策も

厚生労働省の「ポジティブ・アクション」は、企業における女性の活躍推進を後押しする政策。また、経済産業省の「なでしこ銘柄」は、投資家向けに女性が活躍している銘柄を選定したもの。

こうしたアメがあれば、企業も女性活躍推進に乗り出しやすいでしょう。今後、このような政策は増えてくるかもしれない。

とはいえ、企業によって女性活躍推進に関する取り組みに差がある。経営トップが女性活躍推進にどの程度コミットするかが最も重要であることは言うまでもない。
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楠山拓己 楠山拓己

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