2016年9月8日 更新

個人的におすすめ!社会人が読むべき小説5選

苦手な人と上手にお付き合いするには、「自分とは違う考え方」として受け入れる能力が必要です。「普通」は千差万別であることを認め、様々な人の「普通」を知り、それに対して自分がどう感じるかを疑似体験するには読書が最適です。そこで、筆者勧めの小説をご紹介します。

コンビニ人間|村田紗耶香 著(155回芥川賞受賞)

10年以上定職に就かず、独身のままアルバイト生活で生計を立てる人を「ニート」とか「フリーター」とか一定の枠でくくってしまう人も多いでしょう。

でも、主婦が10年以上コンビニアルバイトをしていても誰も何も言わない。
あるいは、離婚してシングルマザーとなった女性が長年アルバイトをしていても同様です。

世間の常識とは、多くの人が「普通」とか「正しい」と思うことに過ぎません。
この普通は時代と共に移り変わっていきます。

この小説は、「世間の普通で無いことが『いけないこと』であるかのように言う世の中の風潮に疑問を投げかけた」のかもしれません。

小説の主人公は、子供の頃から世間の「普通」と少し違う主人公は、コンビニでマニュアル通りに働くことで「普通」の人になったと長年安心して生活していました。

いつの間にか十数年。そんなある日、新人バイトの白羽に指摘され、衝撃を受けます。
知らない間に普通から遠ざかってしまっていたことに初めて気づいたのです。

主人公は自分の生き方を考え始めます。

世間の普通と真っ向に向き合うような小説です。

新人バイトの白羽の
「36歳にもなって定職にも就かず結婚もせずコンビニバイト生活なんて・・・・・・」
この言葉が、既に先輩に向かってとても失礼な差別発言です。

そもそも定職に就いていても結婚しない人は結婚せず、バイト生活でも結婚する人は結婚します。
結婚はご縁の問題です。

でも、新人バイト白羽の考え方の人の方が多いのも現実です。

あなたも「普通の人生」「これからの自分の生き方」について考えてみましょう。

「世間の普通」と異なる生き方をするのも勇気が要ります。今がそうでも、未来がそうとは限りません。

有名な俳優さんも、売れていない時代にバイト生活をした人も多いはず。芽が出たから良いようなもので、出なかったら白羽に批難される主人公と同じです。

将来成功すればコンビニ生活は一転して「今を築いた下積み時代」です。
この本の作者のコンビニ生活も、今や「芥川賞を生んだコンビニ生活」と素晴らしいものに早変わりです。

世間の普通を意識して自分の人生を考えさせられる一冊です。
わかりやすい写実文章で、コンビニの裏事情も想像できて楽しい一冊ですよ!

海の見える理髪店|荻原浩 著(第155回直木三十五賞)

美しい海の見える理髪店の、周囲の背景や店内の様子が丁寧に描かれ、美しい文章で表現されています。

都会的なグラフィックデザイナー(主人公)が気まぐれで、普段いく美容室では無く「大物俳優が通ったことで有名になった老舗の床屋」に予約を入ました。

主人公は見慣れぬ海の見える理髪店に行きます。

読み進めていくうちに、理髪店の主人と主人公の会話から2人の特別な関係が窺われ始めます。

直接的な表現を一切使わずに、じわじわと少しずつ親子であることを読者に気付かせていく表現法。そんな優しい文章が筆者はとても気に入りました。

主人の驚きの沈黙も理髪店ならではの細やかな音、まるでそこにいるかのような気分になる描写で描かれています。

つむじの形を見て、「息子では?」と気付いたときの動揺を、思考を巡らしながらも「僕」に気づかれないように手を止めない主人の心情が隠されているようにも思います。

「僕」の方も、主人が昔殺人者となってしまったことを聞いても、身を委ねてひげを剃ってもらってる描写でも、「あれ?」と思わせ、後にわかる親子であることを裏付ける描写でしょう。

最後の方には、結婚を前に別れていた父親を探して会いに来た息子の気持ちと父親である主人の気持ちも文章の影に見え隠れしています。

主人公が名前ではなく「僕」という一人称で描かれていることも筆者は好きです。

まるで、映画を見ているかのような心の声が聞こえてくるような文章で、感動の一作です。

「あなたは、僕と主人が親子であることに何処で気付きましたか?」と尋ねたくなるような
謎を秘めながらも、読んだ後、無言の親子の対面に温かい気持ちになれます。

相手の動作や表情、状況等で様々なことに気づく洞察力は、新入社員の若いうちから鍛えなければ一朝一夕で磨けるものではありません。

文章だけの描写は、脳の前頭葉をフル活動させて描写を脳裏に描きます。この訓練は、脳を鍛えます。

登場人物の気持ちを察するには、初めの描写が後の方で役立ってくることもあります。

だから、この小説の僕と主人が親子だといち早く気付くには前に書いてあった描写の違和感を覚えている必要があります。

脳を鍛え、洞察力を磨くためにも、このように描写が細やかな小説はおすすめです。

家康、江戸を建てる|門井慶喜 著

この話は、家康の話でもありますが、家臣たちや街の職人たちの苦難を乗り越えて江戸を建国していく都市計画事業の話です。

物語の初旬で、秀吉の無理な申し出に角を立てないために受けることにするだけで無く、「どうせなら……」と何か柵があったのか、誰もが驚くへんぴな場所に建つ古城をしていします。

周囲は「殿のご乱心」と思い大反対しますが、家臣を説得したものの、そんな家康自身さえもその古城を実際に見たときに愕然とします。

それでも挫けずに、城造りから、江戸の街造りまでの「江戸建国」を地道にやっていく家康だからこそなしえた話です。

400年以上昔の話ですが、築城だけで無く、江戸の街の治水、貨幣等々に及ぶまで、いわばマーケティングをしています。

様々な苦難をその道のプロたちに依頼する、庶民と一致協力した、家と人のお話、建築業界(都市計画事業)のお話しともいえます。

あるいは、サラリーマンの新事業の立ち上げにも似ているかもしれません。

誰もが無理だと思うことをやり遂げる家康には、それに従う家臣の力、またその家臣に従う街の職人たちがいます。
それはひとえに家康の人柄にあったことでしょう。

穏やかなように見えて、人一倍強情で信念を貫き通す家康の性格は「泣かぬなら泣くまでまとうホトトギス」の言葉で有名です。

でも、家康は強情でもわがままでは無かったのです。部下に感謝の言葉を述べ、家臣の意見もしっかりと聞いた上で、自分の意思を伝え、頭を下げてお願いする。

殿様にそんなことをされては、家臣たちは従うしかありません。
そして家臣たちは、命がけで殿をお守りしようと協力します。

その結果が江戸建国です。

家康の視点、家臣の視点、事業を実際に担う職人たちの視点、様々な視点から描かれた苦労と努力、対策に問題打開の喜びがそこかしこに描かれた、もはや感動の話です。

機械や重機、通信機器パソコンなんて無かった当時、全て人の手や人の力、さらに長年の職人の知恵の巣窟ともいえる江戸建国。

幕府の人から街の職人に至るまでの指揮系統は、現在の会社の「事業部長→課長→主任→平社員」の指揮系統と似ています。

サラリーマンの方々には、地位にかかわらず、自分の仕事に置き換えて読める一冊かもしれません。

火花|又吉直樹 著

お笑い芸人を目指す若者の話で、2人の人生の歩み方を比較し、別れと再会、出発のお話しです。

文学的な落ち着いた文章で、流れるように、登場人物の心や状況が描かれています。
お笑いの世界を表現した小説なのに、時折文学的な表現があります。

あなたには、徳永と神谷のような親友と呼べる仕事の相棒がいますか?

このまじめな文体が、登場人物のお笑いの仕事に関する真摯な姿勢や冷静な観察眼が感じられます。

主人公徳永が自分よりも才能能あると思っている相方神谷の方が、人生を転落していく様子が描かれています。まるでありとキリギリスの人生のような気がします。

大阪での地道な努力が実を結び、徳永は徐々にテレビに呼ばれるようになります。

一方東京に出た相方神谷は、後輩におごることで借金を造り、連絡が途絶えて疎遠になっていきます。

そして、大阪での相方が結婚のために芸人を辞めるけっしんをしたとき、一緒に徳永も芸人を辞めてサラリーマンに転身します。

そんなサラリーマン生活の際に、神谷との突然の再会です。
まるで、交差して絡み合った運命の糸がほどけて導いた感じです。

神谷は自己破産して借金生活から落ち着いた生活を取り戻し、大阪に戻ってきます。神谷は世間の受けを狙って豊胸手術をしていました。 

でも、性同一性障害で悩んでいる方もいることを徳永に指摘され、反省して後悔する場面や、日常の会話でネタを思いつく、漫才のような日常会話も昔通りです。

何でも話せる真の友真の相方であることを実感させる場面もあったりして、「コンビ再開かも?」と予測させる場面も。

地道にがんばる徳永の姿、才能があるのに目先の派手さを好み失敗する神谷の姿。

真の友人は再開し、真の相方でない生まれないネタもあり、本当のことを言ってくれる大切な友のこと、人生にとって大切な何かが得られる小説だと筆者は思います。

金持ち父さん貧乏父さん|ロバート・キヨサキ 著

この小説は、著者の実父の貧乏父さんと、友人の金持ち父さんを比較し、価値観の違いを見つけた話です。

・貧乏父さん:金持ちになるために頭の良い人間になれ
・金持ち父さん:金持ちになるには、頭の良い人間を雇う方法を学ぶべき

金持ち父さんは、お金を稼ぐには技術が必要であるといいます。
主人公は、お金は稼ぐためにあくせく働くのでは無く、お金を生み出すものだと言うことを金持ち父さんから学んでいきます。

少しずつ主人公は金持ち父さんの価値観を共有し、それを実践して、金持ちになるための知性を得ていきます。

さらに、金持ちは「①お金の怖さを理解しながらお金を使って②益々お金を増やしていくとものだ」と主人公は気付きます。

「金は天下の回りもの」というのは、金持ちの言葉なのかもしれません。

反対に、多くの中間層の人ほどお金を貯め込んでいきます。貯蓄は増えてもたかがしれています。

お金を働かせる勇気を持てずに安全策をとってるのです。

確かに、甘い話には落とし穴もあります。
お金に操られ、お金の虜になってしまったら、お金の地獄に引き込まれかねません。

お金持ちになるには、その「お金の魔力に負けない」強い意思力、「引き際をわきまえている」ことが強調されています。

偏差値の知識は詰め込むこと。
でも、社会に出て役立つのは、知識をどう活用し目的を持って使う技術を持った人間の方にお金や仕事が集まってくるのです。

20代の若者の周囲にどういう人がいるのか、良いお手本がいるかいないかで、その後の人生が大きく代わ理ます。

同じように、良い本に巡り会い、感銘を受けて実行するかどうかでもその後の人生は変わります。

金持ち父さんの考え方や価値観を日常生活に取り入れ実践してみるだけで、チャンスの女神と出会う道へと導かれるかもしれませんね。

若いうちは「良いと思ったこと」は、何でもやってみましょう。

自分に合ったやり方や、自分の真の願いや生き方等々は、頭の中で考えを巡らせているだけでは案外わからないものです。
と言うよりも、狭い世界の偏った常識に縛られているつまらない人生となってしまうかもしれません。
18 件

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

ビズフル|働き方を変えるためのキャリア情報サイト

関連する記事 こんな記事も人気です♪

社会人が読むべきビジネス書の人気ランキング

社会人が読むべきビジネス書の人気ランキング

書店を訪れると、さまざまなビジネス書が並んでいます。ビジネスの指針となるような本が欲しいけれど、あまりに多くのビジネス書があって、どれを手に取ったらいいのか分からない、という人も多いのでは?そんなときは、人気ランキングを参考にしてみるのもひとつの手です。
社会人が読むべき社会常識の本4選

社会人が読むべき社会常識の本4選

仕事をするにあたって、新社会人が覚えるべきことはたくさんあります。業務に関する専門的な知識はもちろんのこと、社会人としての常識やマナーも知っておかなければなりません。その社会人としての常識は、どう学べば良いのでしょうか。そんな悩みを抱える新社会人や、もう一度マナーを勉強し直したいと思っている人におすすめの本をご紹介します。
個人的におすすめ!出世したいなら20代のうちに読むべき本4冊

個人的におすすめ!出世したいなら20代のうちに読むべき本4冊

20代の過ごし方で人生が変わることもあります。そこで、「早く一人前の社会人になりたい」と漠然と考えている人も、「将来出世したい!」と出世欲旺盛な人も、20代のうちに目を通しておくと日々の仕事が違って見えてくなるかもしれない、そんな本をご紹介しましょう。
ビジネスにおける“ホラーストーリー”とは

ビジネスにおける“ホラーストーリー”とは

みなさんは「ホラーストーリー」と言われて、何を連想するでしょうか。多分、真っ先に思いつくのは、恐怖映画やドラマなどの架空のストーリーでしょう。でも実は、ビジネスシーンにもホラーストーリーと呼ばれる手法があるのです。
【コミュ力に自信がない方必見】コミュ力の簡単な鍛え方とは?

【コミュ力に自信がない方必見】コミュ力の簡単な鍛え方とは?

でもビジネスシーンにおいてコミュ力に自信満々なんて人は少ないのではないでしょうか?接客や営業職で10年以上も経験を積むと、コミュ力が鍛えられて管理職になる頃には、コミュ力の達人に!コミュ力は鍛えられるのです。そこで今回はコミュ力の鍛え方をご紹介しましょう。

この記事のキーワード

この記事のライター

鶴井敬子 鶴井敬子

セミナー・イベント

プレスリリース