2016年11月2日 更新

キャリア形成は自己責任、「副業・兼業」でやりたい仕事を極める!

安倍総理が掲げる「働き方改革」は九つのテーマから構成されている。そのひとつが「副業・兼業などの柔軟な働き方」だ。従前、副業や兼業は会社業務に支障を来すという考えが主流であったが、終身雇用体制が崩れた昨今、副業や兼業を解禁する企業も登場している。この記事では、「副業・兼業」が解禁された背景を解説する。

画像素材 - PIXTA(ピクスタ)

これまでは“就社時代”だった

これまで日本企業では、新卒入社後、定年まで勤め上げることが当然であった(ただし大企業に限る)。大企業は新卒一括採用を行い、優秀な人材を確保、右肩上がりの成長時代のなか安心して働ける環境を作っていった。とりあえず、大企業に入社し籍を置いておけばそれなりの地位に達することができたのである。

だから、就職活動の際、「どんな企業に入社するか」が当時の学生にとって共通の関心事であった。つまり、就く職業ではなく、入った企業名のほうが重要視された。

このとき、たいていの学生たちは「総合職」として採用された。「総合職」は、数年ごとに営業、経理、人事などさまざまな部署を異動して経験、
10年くらい経過すると企業の中核人材として腕を振るうようになった。「総合職」は、ゼネラリストを育成する方法として優れているが、従業員本人にとってはキャリアが途中で分断されることにもなり、不満が噴出することも多かった。

時代の変化により“就社時代”が終焉を迎える

こうして「総合職」の従業員は、数年ごとに異動を繰り返していった。「総合職」は、好きなときに人材を配置できるメリットがあり、企業にとって都合のよいもの。しかし、従業員にとっては、いろいろなことを経験したものの、「結局何も身に付いていない」という不安だけが残った。

ひとつの企業に勤めあげる時代はすでに終わっている。このような時代のなか、一企業で職業生活を終えることを想定すべきではない。

だから、「総合職」の従業員は、「自社のやり方は知っている。だが、この先会社が安泰かどうかはわからない。もし倒産したら、自分の実力では他社にはいけないのではないか」と危機感を覚えているのだ。

「副業・兼業」によりキャリアを複線化

会社員でいると、キャリア形成は否応にも会社に左右されることになる。例えば、人事を究めたいと考える従業員がいたとしよう。

小規模企業なら人事職として勤務することが可能かもしれないが、「総合職」をメインとする大企業の場合、数年ごとに異動を余儀なくされる。このような状態では、キャリアが積み上がっていかず、異動のたびにゼロベースでその職務を学ぶことになる。つまり、何かのプロフェッショナルになりたくても環境がそれを許さないのである。

「副業・兼業」は、その問題を解決する端緒となる。というのも、プロフェッショナルでないと仕事は受注できないからである。先の人事職の例で言えば、平日夜間や休日に人事コンサルタントとして企業の顧問を務めるという働き方も選択できるわけだ。「副業・兼業」は、自己実現を図る方法のひとつとしても有効なのだ。

「副業・兼業」のメリット、デメリット

「副業・兼業」は、従業員にとってどのようなメリット、デメリットがあるのだろうか。簡単にまとめておこう。

【メリット】
1.自己実現に役立つ、キャリアの複線化
前述した通り。従業員にとっては、会社以外の場所で活躍の場を得ることにつながり、プライベートがより一層充実する可能性も秘めている。会社以外の複数のキャリアを持つことで、市場競争力が高まる可能性もある。

2.副収入を得られる
給料が上がりにくい時代であるが、社会保険料などの負担額は増すばかり。月1万円でも2万円でも収入を得たいと思っている人も多いだろう。そんな人は「副業・兼業」を今すぐ始めるべきである。

【デメリット】
1.睡眠時間が減る
たいていの会社員は通勤時間などを含めると一日10時間は拘束されているだろう。残りの時間で副業を行うわけだが、場合によっては睡眠時間を削らざるを得ないこともある。会社員だからといって、自分で仕事を受けた以上、甘えは許されないのである。

2.会社の仕事がおろそかになる
副業に注力するあまり、会社の仕事がおろそかになる恐れもある。副業はあくまで“副業”である。本業に支障が出ないように調整する必要がある。

企業にとってもメリットのある「副業・兼業」

日産自動車や富士通、ロート製薬など大手企業が次々と副業を解禁。実際に副業を始める従業員はまだ少ないものの、会社とは別に活躍の場を得られるとあって従業員には好評のようだ。

副業の解禁は、余暇の過ごし方の変化にもつながり、従業員の精神的豊かさにも貢献している。自分で金儲けできることを知り、さらに興味の幅が広がり、本業にもプラスの影響が出る可能性も指摘されている。会社以外で得られた知識、経験を本業に生かしてほしいというのが副業解禁企業のメッセージである。

「副業・兼業」が当たり前の時代に

“就社時代”は終焉を迎え、自分でキャリア形成を行うべき時代だ。会社だけでなく、外部にも活躍のフィールドを創ることが求められている。キャリアを複線化することで、収入と人生の豊かさ、両方を手に入れるのだ。

「副業・兼業」は今後当たり前のものになるだろう。しかし、「副業・兼業」は甘いものではない。自分で受注するということは責任がすべて自分に降りかかってくるということである。その責任をすべて受け入れられる人こそ「副業・兼業」を行うべきである。「副業・兼業」がきっかけとなって起業した人も多々いる。起業の予行演習として「副業・兼業」を利用するのも一案と言えよう。
13 件

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

ビズフル|働き方を変えるためのキャリア情報サイト

関連する記事 こんな記事も人気です♪

給与に不満があるなら「副業」「兼業」に取り組もう! 稼げる金額別の副業の種類

給与に不満があるなら「副業」「兼業」に取り組もう! 稼げる金額別の副業の種類

収入は伸びず出費だけ増える・・・。社会保険料や税金が上昇するなか、会社員の生活は苦しくなるばかり。給料は毎年アップするものの、数万円が関の山。毎月の収入を一万円いや数千円でもいいからアップさせたいと考えている人も多いだろう。そんな人は今すぐ「副業」に取り組むべきだ。この記事では、稼げる金額別に「副業」の種類について解説する。
「テレワーク・在宅勤務」の導入で私たちの生活はどう変わる?

「テレワーク・在宅勤務」の導入で私たちの生活はどう変わる?

安倍総理が掲げる「働き方改革」。「働き方改革」は、国民全員が活躍できる社会である「一億総活躍社会」の実現に欠かせないもの。この記事では、「働き方改革」の重要なテーマのひとつである「テレワーク・在宅勤務の促進」について解説する。
「管理職は割に合わない」、女性の労働観が二極化 女性管理職登用に立ちはだかる高い壁とは?

「管理職は割に合わない」、女性の労働観が二極化 女性管理職登用に立ちはだかる高い壁とは?

安倍政権は女性活躍を旗印に「女性管理職の登用」を企業に働きかけている。男女雇用機会均等法の施行後、男女平等は社会的には進んでいるはずなのに、日本企業の女性管理職比率(2011年現在)は部長4.5%、課長5.5%に留まっている。この記事では、なぜ女性管理職の登用が進まないのか考察する。
正規社員と非正規社員の給料が同じになる? 「同一労働同一賃金」で働き方はどう変わるのか?

正規社員と非正規社員の給料が同じになる? 「同一労働同一賃金」で働き方はどう変わるのか?

安倍内閣肝いりの「働き方改革」で動向が注目されている「同一労働同一賃金」。正規従業員と非正規従業員の待遇格差が問題視されるなか「同一労働同一賃金」が実現するとどのような変化があるのか。具体的に考察してみよう。
「脱時間給制度」のメリット、デメリット ホワイトカラーにとって対岸の火事ですむのか!? 

「脱時間給制度」のメリット、デメリット ホワイトカラーにとって対岸の火事ですむのか!? 

安倍内閣が推進している「働き方改革」。その目玉のひとつが「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」で、労働時間の長短に関わらず、成果に応じて給与を支払う仕組み。この記事では、「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」の概要について解説する。

この記事のキーワード

この記事のライター

楠山拓己 楠山拓己

セミナー・イベント

プレスリリース