2017年8月14日 更新

男女雇用機会均等法見直し!今回の問題点は?

厚生労働省はこの5月、「男女雇用機会均等法」に定められている指針を見直すと発表しました。審議会で提示された改正案は、順調にいけば2017年1月に適用となります。では、その内容とは一体どんなものだったのでしょうか。

そもそも「男女雇用機会均等法」とは?

一般的に「男女雇用機会均等法」と呼ばれていますが、これはあくまで通称です。正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」。その元になったのは、1972年に制定された「勤労婦人福祉法」でした。

「勤労婦人福祉法」は、女性の残業や深夜勤務、危険業務を制限し、育児・介護休暇を認めるなど、女性を弱者として保護するためのものでした。しかしその後、1979年に国連総会で女子差別撤廃条約が採択されたことから、全面的に改正され、1985年に「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」となったのです。

1985年の法律では、募集、採用、配置、昇進について、女性を男性と同等に取り扱うよう「努力する義務」が定められました。また、福利厚生や定年については男女の差別を撤廃。女性に対する残業や深夜勤務、危険業務の制限も、大幅に緩和されました。

「男女雇用機会均等法」の変遷

1999年には再び改正が行われ、名称も現在の「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」となりました。通称も「改正男女雇用機会均等法」と呼ばれるようになります。

改正均等法では、努力義務だった採用や昇進を、一切の男女区別なく取り扱うよう規定。女性に対する残業や深夜勤務、危険業務の制限も、すべて撤廃されました。同時に、新たに盛り込まれた変化として、事業主に対するセクシャルハラスメント防止義務の規定があります。

改正均等法では、「女性のみ募集」といった女性優遇は禁止されたものの、男性への差別は禁止されていませんでした。なぜなら男女雇用機会均等法は、女性への差別を撤廃する目的で制定されたものだったからです。

女性差別だけでなく、男性差別にも対応

男性への差別については、2007年の改正で取り上げられました。

これまで女性について書かれていた条文を、男女双方に対するものに変更され、差別についての規定も強化。加えて、間接差別を禁止するという内容も盛り込まれました。間接差別とは、「総合職の募集・採用や昇進について、合理的な理由もなく転勤を要件とすること」などです。

さらに2014年にも改正が行われ、間接差別禁止の範囲を総合職だけではなくすべての労働者に拡大。セクシャルハラスメントについては、異性に対するものだけでなく、同性に対するものも含まれると明文化されました。

今回の見直しの内容とは?

昨年の5月に行われた厚生労働省の審議会では、セクシャルハラスメントについての指針の見直しが取り上げられました。

現在の均等法でも、企業にはセクシャルハラスメントに対応する義務があります。さらに今回、就業規則にセクハラへの対応を定めること、相談窓口を設置することを義務づけました。

大きな変更点としては、セクシャルハラスメントの対象が「被害者の性的指向や性自認にかかわらない」と明記されたことです。

近年では、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(身体的な性とは異なる性自認をもつ人。性同一性障害者を含む)などの性的指向をもつ人達を指す言葉として、それぞれの頭文字をとった「LGBT」という呼びかたが一般的になってきました。LGBTの人達は、少数であるがゆえになかなか理解されず、セクハラを受けて相談窓口を訪れても取り合ってもらえない例があるようです。

今回の見直しは、性的マイノリティであるかどうかに関わりなく、誰でも公平に働ける職場環境を作るためと言えます。

男女雇用機会均等法の未来

男性の中にも、さまざまな考え方をもつ人がいます。女性も同じです。LGBTについては「第3の性」といった呼ばれかたもしていますが、そこに含まれる人々も多種多様な性自認をもっています。

人間を男性・女性と大きくカテゴライズするのではなく、性別の多様性を法律で保証することは、大きな進歩と言えるでしょう。

時代に合わせて変化を遂げてきた男女雇用機会均等法。今は「男女雇用機会均等法」と呼ばれていますが、その通称から「男女」という言葉が消える日も近いかもしれません。
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浜田望生 浜田望生

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